私たちは『一人ひとりの“健康な部分”にアプローチし、個人の成長発達を支援します』
毎日、家から職場に通う「私」。家と職場とどっちが大切なのでしょうか。“家に帰る”といっても、今朝出た“その時の家”に戻ることはできないのです。結局どちらも大切な「私」の生きている時間だと思えるのです。 何かの縁で出会う人々、この地球上の藤枝の駿府病院という小さな“点”で出会った同僚も患者さんも、「私」が選んで出会ったわけではありません。偶然でないならば、縁とでも言うほかないのではないでしょうか。この何かの縁を大切にしながら、今生きているということを大切に、共に同じ時間を共有したいと思うのです。そう考えると、私たち看護者は“お世話をする側”の位置に居るだけでなく、人をケアするという行為を通して、「私」という人間が成長する機会を与えられているようにも思うのです。そして看護者と患者という相互関係の中で、対象となる人々も成長していくことになるのです。つまり「人は成長しつづけるもの」と言えるでしょう。 また病気(疾患)の治療は医師の仕事ですし、看護者の役割は“障害を持って生きる人を支援すること”でしょう。その役割を果たすためには、患者さんの“健康な部分(=持てる力)”に着目して支援することだと考えているのです。障害を持っているからといって、すべてが“病気”で覆われているわけではないのです。この様な考え方から看護部の基本方針が出来ましたし、当院ではこの方針を念頭に一貫した看護を提供しています。 |
看護は“人を見る”ということに関係しています。人を見るとは部分を見るのではなく“全体を見る”ということでもあります。医療は長らく二元論(体とこころ)といわれる方法で人間を診てきました。しかし体とこころ(精神)の両方があって人間であり、体とこころは繋がっていて、相互に影響しあっていると思えるのです。中井久夫*)は「身体と心は表裏一体、両方を同時に見ることは出来ない」と述べています。 従って看護者は、表と裏を交互に見ていきながら、統合(アセスメント)し、その人の全体を見ようとするのです。そこに精神科看護を行う難しさがあるのですが、“患者と共に考え対応できる”分野であり、経験と実践に裏打ちされた看護者の対応技術が活かされる場だと思えるのです。そこに精神科看護を行う醍醐味があると言えるでしょう。 |
固定チームナーシング(継続受持ち制)という手法の活用 “人を見る”ことの強化、それをチームで支える仕組みとして、固定チームナーシングというツールを使用しています。 固定チームナーシングとはリーダーとメンバーを一定期間固定し、受持ち患者グループを継続してケアする方式です。入院患者さん一人ひとりに、継続受持ち看護師が定められ、継続受持ち看護師はその患者さんの入院から退院まで責任を持って関わることになります。そして、継続受持ち看護師と患者を支えるサポートシステムが固定チームなのです。
教育に関すること 看護部教育としてのoffJT(集合教育)では、特に“新卒者研修”“初任者研修”“リーダー研修”に力を入れています。そして個々人のスキルアップには外部研修を活用しています。またOJT(現場教育)もなくてはならない重要な教育手法と考えていますし、新人研修では、プリセプターシップも導入しています。なお全体研修として必要な感染やリスク研修は、院内研修だけでなく外部研修も取り入れ、看護部からの発信ができるように心がけています。
感染管理 当院における重要課題として位置付けられているのは、感染予防と同時に感染を広げないこと重症化を避けることです。具体的には、毎月静岡で行われている「感染ネット」会議への参加を通して、新たな知見を得ること、そこでの知識を院内感染対策委員会で共有することが挙げられます。また院内ラウンドを行い各部署での取り組みを評価するなどの感染対策活動を継続して行っています。 電子カルテの導入 平成21年度から電子カルテを使用しています。医師の指示受けだけでなく看護記録も行っています。 度量の深さと頑張る力が身につく 単科の精神科病院で留意しなければならないことの一つに身体合併症があります。当院では持続点滴(ルート確保)、効果的な吸引、イレウス対応、モニター管理等の処置が増加しています。いわゆる医療処置の増加は、患者さんの話しを聴く時間を少なくする傾向がありますが、当院看護者は「精神に障害を持つ人に対する処置は“精神科の看護者である私たちだからこそ十分に出来る”という自負」を持って対応しています。 褥瘡の悪化を防止する “褥瘡はつくらない”ということが徹底されています。 看護学生の臨地実習 複数の看護学校等に当院を活用していただいています。学生さんたちが実習に見えること、ご意見をいただけることが、看護部の新たな力になっています。 |
一つには“看護の思考過程を明らかにする”ことですし、二つには“患者・ご家族さんへの説明がゆきとどくこと”です。 一般科に新たに配属された看護師は、その科特有の疾患や処置を学ぶことが最初の課題となります。それでは精神科におけるこうした手技や処置に相当するものは何でしょうか。 精神科看護では、“看護を通して集められた情報をもとに、こう考え、こう看護した”というような、看護を行う上での“はっきりとした道筋(=思考過程)”だと思うのです。当院看護部では、このような「思考過程を明らかにする」ことが、始まったばかりです。そして、これらがしっかりしてくると、患者・ご家族さんへの看護者としての説明がゆきとどくことになると考えています。 当院におけるキャリア支援 准看護師の看護師資格取得への支援 日本精神科看護技術協会会員入会率 40%(病院支援あり)
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